中伝 曲目

中伝46 鶴之巣籠 tsuruno sugomori(11:11)

投稿日:1980-03-18 更新日:

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鶴之巣籠
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虚霊山明暗寺(京都)伝。初段に入る前に「音取ねとり」があり、その内容は「轉菅垣ころすががき」とほぼ同じです。初段は「虚空こくう」「三谷さんや」など京都明暗寺系の高音の典型的なフレーズがいきなり登場します。そして、巣籠特有のコロコロ(ホロ)も多用したフレーズが、しっかりした拍節(ビート)・民謡のテトラコルド(音階構造)を伴って奏されます。 琴古流の巣籠(巣鶴鈴慕そうかくれいぼ)がしっかりした構成のもと、様々な技巧をこらして微妙に変容してゆくベートーヴェン的作りだとすると、この明暗鶴之巣籠は、おしげもなく新たな旋律が展開してゆく点でモーツァルト的といえるかもしれません。 この曲は九段からなり、七段・八段は口伝になっていますが、七段は九段と、八段は六段と同じ手を吹くそうです(本演奏では、七・八段は省略してます)。 この九段からなる鶴之巣籠と「紀州真龍伝巣籠きしゅうしんりょうでん」は、「古伝巣鶴こでんそうかく」(別名五段巣籠)から胡弓(江戸時代以降用いられた日本唯一の擦弦楽器)に移され、尺八のレパートリーとして再移入されたといわれています。  鶴之巣籠の伝承は少なくとも五つあり、本文に登場した以外にも布袋軒ふたいけん松巌軒伝しょうがんけんでんのもの、神保政之輔じんぼまさのすけ作の「神保巣籠」(別名三谷巣籠奥州三谷とも)などの大曲があります。めずらしく歌舞伎で尺八を用いる例として仮名手本忠臣蔵九段目『山科閉居』で加古川本蔵が吹くのも鶴之巣籠です。

CD 尺八古典本曲集[四]の9曲め

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