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尺八古典本曲集[三]

投稿日:1985-08-31 更新日:

尺八古典本曲集[三] 須弥
奏者:徳山隆
演奏時間:60分
録音: 1984/11/17, 1985/8/3
本曲研究会
Copyright C 2019 by Takashi Tokuyama

1 霧海箎 mukaiji (20:49)
2 吉野 yoshiya (7:52)
3 遇対 o-tai(2:11)
4 三谷 san ya(8:56)
5 雲井獅子 kumoi jishi(9:07)
6 北国鈴慕 hokkoku reibo(6:37)
7 阿字観 aji kan(5:21)

ここに第三巻をお届けします。いよいよ当巻からライヴ録音が登場です。東京牛込法身寺ほっしんじにおいて、小菅大徹住職の座禅指導を間にはさんで、小生が本曲を吹断する「吹禅尺鉢の夕べ」を開いています。1985年8月3日の第10回から「霧海箎むかいじ」を収録しました。法身寺は臨済宗のお寺であり、江戸期より普化尺八(古典本曲)の総本山、青梅鈴法れいほう寺の菩提寺であり、鈴法寺がなくなって以来、普化禅師像を始めいくつかの遺品を保存しています。8月の会では、小菅師が「法器ほうきとしての尺八は、素朴な良さ、純粋な音色を大切にして、自己及び聴く人の仏性ーー生まれついてもっている清浄な心ーーに語りかけるのが良い」という趣旨のことを話され、引き続き参同者が座禅の形をとったのち、たく(拍子木)、引鑿いんきん(鐘)に導彼、「霧海箎」の吹禅に入りました。お話に啓発され、安定した深い吹禅に入っていたと記憶しています。夏の盛りのこととて、途中、近所の主婦が二階の窓から打ち水をしている音なども入り、一興を添えています。尺八古典本曲は、歌や他種目の芸能の伴奏ではない独立した純粋器楽曲としても、また、仏教音楽としても日本の貴重な文化遺産です。史料の保存・普化尺八道の復興を目指して、今日、流派を超えて「虚無僧研究会」が発足しています。ご参集下さい。  虚無僧研究会 〒162 新宿区原町 3-82 法身寺内 電話03-202-4876

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1 霧海箎
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2 吉野
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3 遇対
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4 三谷
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5 雲井獅子
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6 北国鈴慕
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7 阿字観
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奏者:徳山隆
演奏時間:60分
録音:1984/11/17, 1985/8/3   ミキシングエンジニア:松崎和夫  デザイナー:竹林孝枝・橘沙羅(竹林工房) フォトグラファー:佐々木滿・勘田義治  制作/レコーディング・プロジェクト  発行:/本曲研究会  〒156 東京都世田谷区松原5-20-12

side-A
1 霧海箎 mukaiji (20:49)
虚空こくう」「虚鈴きょれい」(それぞれ第1巻・第2巻に収録)とならんで、古伝三曲として重視されています。いい伝えでは、尺八で托鉢していた客竹が、伊勢・朝熊山上の虚空蔵堂で夜を明かそうとしてまどろみ、霊夢の中で、舟で海に出て霧がたちこめる中、笛の妙音を聞き、目ざめてからそれをなぞってできた曲といいます。曲調は単純なメロディーのくり返しですが、雅びなおもむきがあり、尺八古典本曲の原旋律として、ここから多くの曲が発展形成されたものと思われます。
2 吉野 yoshiya (7:52)
曲の感じは古典本曲的というより、祭囃子の笛で吹かれるような感じです。実際には民俗芸能や祭礼の音楽から取り入れられたものではないでしょうか。読み方は違うものの吉野よしやの漢字が地名に由来するものだとすると、虚無僧の祖といわれ南朝復興を企てた楠正勝が奉じた後醍醐天皇ゆかりの地ということになります。なお「善哉よしや」とこの吉野よしやは全く別曲です。
3 遇対 o-tai(2:11)
虚無僧同士が路上で出会った際、お互いの挨拶として吹かれたものです。初めに一方が低音域(尺八ではこれをおつという)で奏し、それに返答して残りの片方が同じ旋律を高い音域(かんの音域)で吹いたそうです。虚無僧達はニセ者が出まわることを警戒し、遇対が吹けない者には集団で制裁を加えたということです。
4 三谷 san ya(8:56)
京都明暗寺を代表する曲。「サンヤ」は尺八の曲名として多く用いられ、越後明暗寺や仙台の布袋軒ふたいけん(字は"産安さんや"と書く)にも同名異曲として伝わっています。琴古流本曲の三谷管垣さんやすががき、根笹派錦風流の三谷清攬さんやすががきと、この「三谷」とはメロディーに似た部分があります。三つの高音たかねの部分を曲中持っているから三谷とよぶという説もあります。「滝落(巻2)」、「秋田菅垣(巻1)」、「ころ菅垣」と並んで、三谷は正統派古典本曲の一つです。
side-B
5 雲井獅子 kumoi jishi(9:07)
博多一朝軒伝。曲中の小分類として、「音取ねとり」「拍子ひょうし」などの用語が使われているのは雅楽の影響でしょうか。自由リズムを基本とする尺八古典本曲の中で、獅子ものは拍節的で明るい曲調が多く、獅子舞の笛の手をそのまま写したか参考にしたと考えられます。修行用というより午後の息ぬきの時間に奏されたようです。根笹派の「獅子」を除いて、「栄獅子」「吾妻獅子」、真法流の「獅子踊」「六段獅子」は、いずれも上記の特徴をそなえています。
6 北国鈴慕 hokkoku reibo(6:37)
鈴木大拙、西田幾太郎も参禅したという富山県の名刹臨済宗国奏寺に伝わる曲。曲の中程やや前にトッピキビときこえる部分があり、それにちなんで、一名「突飛喜とっぴき」ともいわれています。6月2,3日の国奏寺開山忌には虚無僧と正装の僧侶が、共に開山堂まで行列するそうです。
7 阿字観 aji kan(5:21)
宮川如山が、仙台布袋軒最後の住職、長谷川東学の独自のりの手をとり入れ、九州に従来からあった曲と合体させ、再構成したものです。短いながらも、尺八の魅力が存分に発揮されています。曲名の阿字観とは、真言宗で用いる修行の一つです。最後の虚無僧といわれた谷狂竹は、二尺五寸の長管でこの曲を好んで吹いたということです。

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