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尺八古典本曲集[五]

投稿日:1987-11-14 更新日:

尺八古典本曲集[五] 雲井
奏者:徳山隆
演奏時間:60分
録音: 1987/11/12,13
古典本曲徳山会

Copyright C 2019 by Takashi Tokuyama

1 臥龍軒竹調 Garyoken takeshirabe (5:28)
2 筑後薩 chikugo sashi (5:14)
3 練些子 neri sashi(3:22)
4 高嶺さし takane sashi(5:03)
5 歌恋慕 uta renbo(3:12)
6 轉菅垣 koro suga gaki(6:38)
7 大和調子 yamato choshi(3:00)
8 高音竹調 takane takeshirabe(3:08)
9 吾妻乃曲 azuma no kyoku(5:11)
10 下野乃曲 shiomotsuke no kyoku(6:11)
11 布袋軒鈴慕 futaiken reibo(12:28)

本録音は1987年11月12日深夜から13日未明にかけて、熱海郊外の山荘において収録されたものです。録音スタッフの車に同乗している間も、愛菅の八寸調律菅や、地なし菅(録音のために愛知在住の稲垣衣白師からお借りした、虚月八寸菅)などに息を入れながら山荘に向かいました。セッティングも無事済ませて順調に録音を始めた間もなくなんと雨が降り始めて中断せざるを得ない事態になりました。この次といっても予定だが立ちません。祈るような気持ちで待っていますと、程なく雨があがり、再び演奏に向かうことができました。五時間以上にわたる収録のなかで、できれば二本分作りたかったのですが、時間や曲の構成などから、厳選して第五巻の一本にまとめました。残りの根笹派錦風流の曲なども仕上がっていますので、六巻以降に御期待下さい。今までの巻同様、この一巻だけでも尺八古典本曲の全体像が見渡せるように組みました。この巻までは、調律菅の一尺八寸を使用していますが、今後は地なしの長菅などでも録音を予定しています。

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1 臥龍軒竹調
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2 筑後薩
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3 練些子
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4 高嶺さし
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5 歌恋慕
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6 轉菅垣
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7 大和調子
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8 高音竹調
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9 吾妻乃曲
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10 下野乃曲
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11 布袋軒鈴慕
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奏者:徳山隆
演奏時間:60分
録音:1987/11/12,13 ミキシングエンジニア:松崎和夫  カバーデザイナー:竹林孝枝 制作/レコーディング・プロジェクト  発行:古典本曲徳山会  〒156 東京都世田谷区松原5-20-12

Side-A
1 臥龍軒竹調 Garyoken takeshirabe (5:28)
金性山臥龍軒は山形の虚無僧寺。この曲はアゴを細かくユスる「ゆり」の技法を多用し、乙音(低音域)を多く用いている。
2 筑後薩 chikugo sashi (5:14)
久留米林棲軒伝、「さし」というのは、「すががき」「れいぼ」「さんや」などと並んで尺八古典本曲の代表的曲名。筑後薩とほぼ同曲のものに「筑後薩子ちくごさし」があり、ほかにも「さし」を曲名にしているものに「練些子」「高嶺さし」「薩慈さし」「些子」「遺風薩志」などがある。後「阿字観」として有名になった曲(第二巻に収録)も、元は「新七薩慈」とよばれていた。
3 練些子 neri sashi(3:22)
和歌山興国寺伝、練り歩くことから練些子と呼ばれる。暗譜するためだろうが、手(指つかい)はやさしくなっている。小品ながら、高音(高音域を中心とする独立した部分、曲の中ごろあるいは後半に用いいられることが多い)を含んだ本格的な構成になっている。ここでの高音のメロディーは「三谷」などと共通する古典本曲特有の藻である。
4 高嶺さし takane sashi(5:03)
高嶺は高い音(高音)の事。高音だけでなく、この曲は甲乙(高音域と低音域)がバランス良く配置されている。博多一朝軒の伝承か。「さし」は、九州の本曲に多く命名されている。
5 歌恋慕 uta renbo(3:12)
第一巻収録「伊予恋慕」の元の曲。明暗真法流には「鈴慕之曲」として伝わっている。伊予恋慕が琴古流的趣であるのに対して、この歌恋慕は厳格であるものの、音階構造はかなり古さを感じさせる。他の芸能領域から本曲に移入されたことが感じられる一味違った曲。
6 轉菅垣 koro suga gaki(6:38)
最も古い本曲である浜松譜大寺伝承の十一曲のうちの一つ。のちこの十一曲が京都に渡り、それをもとに今日の京都明暗寺三十二曲の芸系が確立した。この曲は譜大寺(西園流「コト菅垣」)から来たとする説、一節切の技法「転び指」から派生したもの、「コロコロ」(指を早く動かすテクニック)を用いていることから来た、あるいは仙石騒動(海音寺潮五郎の『列藩騒動録』に詳しい)の忠臣、神谷轉かみやうたた(虚無僧友駕ゆうが となって逆臣を討つ)に因む曲など諸説ある。本曲における「すががき」は音が早く動く部分が曲中に入っているものをいい、雅楽の和琴のテクニックから転用されたもの。
Side-B
7 大和調子 yamato choshi(3:00)
谷狂竹が虚無僧村田扇翁せんおうから陀羅尼だらにの曲として習う。狂竹は十年程吹いてから、扇翁に再び聞かせたところ、「そんな曲は教えた覚えがない」といわれ、ガッカリしたというエピソードが伝わっている。後、狂竹は浦本浙潮と相談し、大和郡山のあたりで伝承したので「大和調子」と命名した。浦本師は真の手、行の手として整譜している。
8 高音竹調 takane takeshirabe(3:08)
明暗真法流伝。高音を中心にまとまった曲。本曲らしい趣を持つ小品。荒木精一郎氏から譜面を頂戴し、のち、古譜など複数の資料に当たって、再現演奏した。短い曲なので、普段は「調子」に続けて「高音竹調」を演奏している。
9 吾妻乃曲 azuma no kyoku(5:11)
関東の里神楽の音楽だとか、一節切(短笛)尺八から本曲に取り入れられたとか、あるいは吾妻地方の獅子舞の笛の手だとか諸説ある。「雲井獅子」(第三巻収録)同様、ひなびて、のどかな感じのする曲、琴古流では、これらのリズム(間拍子)を厳格に規程し、陰旋法(半音を含んだ音階ーーその悲しげな曲調は、近代歌謡演歌調の元となる)で吹奏する。
10 下野乃曲 shiomotsuke no kyoku(6:11)
美しい洗練されたメロディーに終始する曲。坂口鉄心氏が吹いていたことから、その師高橋空山師作ないし編曲のものと思われる。曲の構成やメロディーは端正だが、正統的本曲とは趣を異にしている。原曲があったにしても、かなり後世の手が加わっていることを感じさせる、そしてそれゆえに、現代人の感覚にも直接訴えかけるような曲である。
11 布袋軒鈴慕 futaiken reibo(12:28)
本巻最後を飾る大曲。鈴慕と産安の二曲が布袋軒の代表作。布袋軒そのものについては第四巻「布袋軒産安」の項参照。
竹調べ・鈴慕・鉢返しからなる堂々たる曲。本鈴慕は小梨錦水こなしきんすいの曲を浦本浙潮師から、稲垣衣白師と伝わった。小梨錦水伝とは別に、及川寉友かくゆうを経て岡崎明道に伝わった別の布袋軒鈴慕もあるとのことであるが、譜は残されているものの今日吹く人を知らない。

 

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