プロフィール

思春期に京都で参禅。さまざまな洋楽器を経て18歳で尺八を手にし、都山・琴古の二大流派を習得。20歳のとき絶滅に瀕する尺八古典本曲(吹禅尺八)の存在を知り、その伝承、保存を決意し全国を行脚して約220曲を収集、復刻。古典本曲独自の教授システムを確立する。この間、インド、ヨーロッパにおける生活体験をもつ。東京を中心とした二十数回に及ぶリサイタルをはじめ、寺院での吹禅尺八会、アメリカ、ヨーロッパなどから招聘され講演や独奏会を開いている。

慶応義塾大文学部(哲学科美学専攻)卒、東京芸術大学(音楽部邦楽科尺八専攻第1期生)卒、昭和女子大(院)言語コミュニケーション博士課程(前期)修了。高校教師(英語、倫理)の傍ら100回を超す参加形ワークショップによる自己啓発プログラムの実施や国内外での講演などマルチな生き方を実践している。

役 職
東洋言語学院学校長

著 書CD本『心とからだをリセットする本』 明日香出版(2008)、音つき教則本『本曲への道 Ⅰ』 古典本曲徳山会、『古典本曲 奏法ガイド』(絶版)、CD『徳山隆尺八古典本曲集Ⅰ~Ⅴ』 発売元アメリカ

公刊譜(初伝~奥伝)約60曲、

ライブ・ビデオ
1988年(カザルス・ホール)、2001年 於 紀尾井小ホール

「尺八古典本曲」について

古典尺八の歴史 尺八は、奈良時代に雅楽の楽器として、わが国に渡来しました。しかし、この歴史は、ほどなく途絶え、中世の芸能に改良され用いられていました。古典尺八が定着したのは江戸時代に「虚無僧の修行用具」として発展し、最盛期には全国百近くの虚無僧寺において尺八の特性を最大限生かした多くの独奏曲を生み出しています。これらは尺八本来の曲という意味で「本曲」、それも古くからあるので「古典本曲」と呼ばれています。
音楽としての特徴 尺八古典本曲の音楽的特徴は、自由リズムにあります。これは、洋楽のビートのような規則的拍節を持たず、尺八の音色の魅力を最大限引き出すように音を長く延ばします。これらの特徴により、今日では気持ちを落ち着かせ(ストレス低減)、ヒーリング(癒し)効果のある音楽として、再認識されつつあります。また、本来の「尺八古典本曲」は、東北、九州、京阪の本曲のメッカを始め、北陸、茨城、静岡など各地に名曲が伝わっており、一部篤志家の手で辛うじて伝えられ、絶減を免れています。 
表現の異色性 わが国の音楽は歌や劇や舞踊の伴奏に用いられることが多く、器楽そのものの独奏はきわめて稀であり、「尺八古典本曲」は異色かつ貴重といえます。また、世界の音楽をみても、管楽器でこれほど多くの独奏曲を表現してきた例は類を観ません。 この貴重な文化遺産である「尺八古典本曲」は、仏教(臨済宗系普化宗)音楽であるという理由から、明治四年の廃仏毀釈(外来思想である仏教を廃止すること)運動により、廃止の憂き目に遭いました。その後、尺八は楽器として一般に開放され、本曲や江戸時代から虚無僧の吹いた「古典本曲」とは全く別物といえる三曲合奏(箏、三絃、尺八)を主とする琴古流・都山流の二大流派ができました。今日これらの流派では詩吟や民謡の伴奏、あるいは都山・琴古の尺八はそれなりに盛んですが独奏を主とした「尺八古典本曲」とは異なった音楽となっています。

投稿日:2019-09-30 更新日:

執筆者: 徳山隆

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